今回は、2021年11月6日放送の「池上彰のニュースそうだったのか!!薬・ワクチンのこと知っておこうSP」の内容をまとめました。
先日の放送を見逃したひと、薬とワクチンのことについて詳しく知りたい人、市販薬と処方箋の違いについて知りたい人。
このような方は、これから紹介する「池上彰のニュースそうだったのか!!薬・ワクチンのこと知っておこうSP」の内容を知ることで、今まで疑問に思っていたことが理解できるようになると思います。
それではさっそく見ていきましょう!
- 「池上彰のニュースそうだったのか!!薬・ワクチンのこと知っておこうSP」
- 薬とワクチンってどう違うの?
- ウイルスに感染する仕組みと薬が効く仕組み
- どうして頭痛や腹痛など、場所の違うところに薬が効くのか?
- 花粉症に効く薬が眠くなる理由
- 薬1粒に含まれている有効成分はたったの数パーセント!?
- 薬の色や形に様々な違いをもたせる意味
- おすすめの薬の飲み方がある
- 処方箋の方が市販薬よりも効くの?
- 市販薬の購入に薬剤師が必要な場合がある理由
- 薬局と薬店の違いについて
- 同じ処方箋を出してもらうにしても、薬局によって値段が違う!?
- 市販薬に書いてある「セルフメディケーション」ってなに?
- ジェネリックが安い理由
- 薬の開発費はどれくらいかかっているの?
- 研究者の失敗から生まれた薬がある
- 薬の成分はどうやって見つけるの?
- まとめ
- 関連記事
「池上彰のニュースそうだったのか!!薬・ワクチンのこと知っておこうSP」
ここ最近では、コロナの感染者数がかなり少なくなってきましたね。
しかし、まだまだ再拡大に対して予断を許さない状況であることには変わりません。
感染防止対策としてワクチンが普及する中、ここらで一度、薬とワクチンに関しての知識を蓄えておくのもいい機会だと思います。
「池上彰のニュースそうだったのか!!薬・ワクチンのこと知っておこうSP」では、薬とワクチンの違いから、それぞれの効能の仕組みや、市販薬と処方箋の違いについても解説されていて、とても分かりやすいものとなっています。
今までただ何となく思っていたことにも、正しい知識をもつことで頭の中のモヤモヤがスッキリすることでしょう。
薬とワクチンってどう違うの?
イメージとしては次のように思ってもらえばいいと思います。
- ワクチン ➡ 防御力UP!!
- 薬 ➡ 攻撃力UP!!
●一般的なワクチン
無害・毒性を弱めたウイルスを体の中に入れて、免疫をつけるもの。
●一般的な薬
自然治癒力を手助けして症状を軽くするもの。
このように、外側からくるウイルスに対しての抵抗策としての「ワクチン」
もうすでに菌などに侵されている状況の中で、戦う力を高める「薬」
として、それぞれの役割の違いが理解できたかと思います。
ウイルスに感染する仕組みと薬が効く仕組み
細胞には情報を伝える「かぎ穴」のような仕組みがあります。
この細胞にウイルスがハマり込むと、
「感染」となってしまいます。
しかしこの「感染」を防ぐために「ワクチン」を打つことによって、
ワクチンで出来た「抗体」が悪いウイルスを包み込み、「細胞のかぎ穴」にハマらないようにしてくれます。
これがワクチンを打つことによって、感染を防ぐことができる仕組みとなります。
どうして頭痛や腹痛など、場所の違うところに薬が効くのか?
薬を飲んだ後の動きについては、胃 ➡ 小腸 ➡ 肝臓 ➡ 心臓 の順で薬が全身を回ります。
それなのに、場所の違うところの症状に対して薬が効くのは、先ほど紹介した「細胞のかぎ穴」と「薬のもつ形状」の結びつきに答えがあります。
例えば、画像にある「Y」の形状をした「細胞のかぎ穴」が「頭」にあるとします。
そして、「薬A」を頭痛薬、「薬B」を、腹痛に効く薬とします。
頭痛を治す場合は、その「細胞のかぎ穴」に合うように作った「薬A」が「細胞のかぎ穴」とうまく結びつき、頭痛を治す情報伝達をすることによって、症状が和らいでいく結果となります。
しかし、同じように全身を回っていたとしても、「薬B」はお腹にある「細胞のかぎ穴」と結びつくように作られた形をしているので、頭にある「細胞のかぎ穴」とは結びつかず、ちゃんとお腹に対して薬の効果が現れるようになっています。
症状の違うところに薬が効くのは、「効果を現したい場所の細胞のかぎ穴に合わせた薬が作られている」ことが答えでした。
※ちなみに、「鎮痛剤」はどの「細胞のかぎ穴」にも当てはまるように作られているそうです。
要は、場所を選ばずに痛みが引くということですね。
花粉症に効く薬が眠くなる理由
答え:花粉症を止める薬が、脳の「細胞のかぎ穴」にも当てはまってしまうから。
治まりなさいという情報伝達が、脳にも伝達されてしまうことで、眠くなるといった副作用が働きます。
最近ではこの副作用が出ないよう、脳に伝達が行かないような改善がされているそうです。
※「睡眠改善薬」は、花粉症の薬などの副作用を逆手(さかて)にとってできたものだということ。
薬1粒に含まれている有効成分はたったの数パーセント!?
薬1粒に含まれている有効成分は、約7%だそうです。
一般的な薬でも、約10%以下でしかないとのこと。
この理由は、飲みやすく、患部に届けやすくすることが目的だそうです。
有効成分以外に含まれているものは、でんぷんなどの添加物が多いそうです。
薬の色や形に様々な違いをもたせる意味
- 狙ったところで作用するように形が異なっている
- 色が違うのは飲み間違いを防ぐため
昔は、薬1粒ごとに切り取れるようシートが分割されていましたが、今では2粒でしか切り取れないようになっています。
これは、お年寄りが1粒で切り取れると、シートごと飲み込んでしまうことを防ぐ目的としているそうです。
おすすめの薬の飲み方がある
答え:正面、又はあごを少し引いた下向きが良い
薬を飲む際、上を向いて飲んでしまうと、水だけが先に流れて薬が残り、のどに張り付いたり、気管に入ってしまう恐れがあるからだそうです。
処方箋の方が市販薬よりも効くの?
答え:処方箋は医師によって診断されたうえで処方されているので、誰にでも一般的に効果のある市販薬よりも、その患者さんに対してピンポイントで効かせることができるもの。だから、市販薬よりも適切な効果が得られる。
●処方箋と市販薬との違い
~処方箋~
- 医師が診察して、患者さんの体格や症状に合ったものを処方できる
- 患者さんにピンポイントで効果がある
- 副作用のリスクがあることがある
~市販薬~
- 幅広い人が服用するので、あえて有効成分を抑えることもある
- 副作用の心配はないが、処方箋に比べて「有効成分が 1/2~1/3 」という市販薬もある
- 処方薬と有効成分が同じものが売られているのは、長期間の使用で安全性が確認されたから
市販薬の購入に薬剤師が必要な場合がある理由
答え:第1類医薬品に関しては、薬剤師しか販売してはいけないから
2009年に一般医薬品を分類した結果、
第一類医薬品は「薬剤師」が、
第二・第三類医薬品は「登録販売者」が販売することになりました。
分けかたの内容は副作用のリスクにあります。
●副作用のリスク順
第一類 > 第二類 > 第三類
この順によって分けられています。
販売に対して薬剤師が必要な第一類医薬品は、薬店などではお客さんが手に取れないよう、レジ後ろなどの棚に陳列されています。
第二・第三類医薬品として分けたものは、スーパーやコンビニでも買えるようにしたことが目的です。
薬局と薬店の違いについて
答え:薬局は「薬剤師」が常駐していなければならない
●薬局(Pharmacy)
- 薬剤師が常駐し、処方箋に従い薬品を調合
- 薬だけを販売している
●薬店(Drugstore)
- 薬剤師常駐の必要なし
- 市販薬など、日用品も販売している
●店舗の数
- 薬店 ・・・ 2万2498店舗(2021年6月時点)
- 薬局 ・・・ 6万171店舗(2019年度末時点)
- コンビニ・・・ 5万5940店舗(2021年8月時点)
「薬局」はコンビニよりも店舗が多い!
同じ処方箋を出してもらうにしても、薬局によって値段が違う!?
まず、薬局は「門内薬局」と「門前薬局」に分けられます。
●門内薬局
- 病院内にある薬局
●門前薬局
- 病院や診療所付近にある薬局のこと
病院内に薬局があるのなら、そこでお薬を出してもらうのが一番手っ取り早いし、患者負担分も安いのですが、
現在では「76.9%」と、ほとんどが病院から少し離れたところにある「門前薬局」での受け取りとなっています。
そこで覚えておいた方がいいのが、病院から少し離れたところにある「門前薬局」の場合は、診察を受けた病院との距離や、薬局の経営スタイルによって、「調剤基本料(処方箋1枚)の患者負担分」が変わってくるということです。
●「調剤基本料(処方箋1枚)の患者負担分」
- 病院から近い個人経営の門前薬局「80円」
- 大手チェーンの門前薬局「50~60円」
- 病院から離れた個人経営の門前薬局「130円」
この中で最も安くお薬を出してもらえるのは、診察を受けた病院から一番近い「大手チェーンの門前薬局」です。
~病院と薬局を分けた理由~
病院が利益確保のため、必要以上に薬を多く処方している!?と問題になったため、国が「医薬分業」として病院と薬局を分け、必要な量の薬だけを処方するようになったそうです。
市販薬に書いてある「セルフメディケーション」ってなに?
これは、世帯で1万2000円以上購入で申告可能となり、税金が免除されるというものです。
※医療費控除を受けている場合など例外あり
元々は国が「医療費を削減したい」として始めたもの。
誰しもみんなが病院に来てしまった場合、国は保険適用のためにその「医療費」を負担しなければなりません。
だから税金を免除できるお薬を販売するので、少しのことなら自宅療養といったかたちで治してねといったところでしょう。
ジェネリックが安い理由
答え:期限の切れた特許を元に開発した薬だから
やはり特許があると薬の費用は高いとのこと。
この方法で作ったジェネリックの開発費は、新薬の約300分の1ともいわれているそうです。
患者側からすれば、効能がそれほど変わらないのであればありがたい話です。
現在の全国での使用率は、78.3%だそうです。(2021年9月時点)
~薬局でジェネリックをすすめる理由~~
- 国の医療費負担が減る
- 薬局での「ジェネリック置き換え率が85%以上」で、薬局に入る「調剤基本料が280円加算」される
- 患者さんへのサービスにつながり、薬局の利益につながるから
薬の開発費はどれくらいかかっているの?
答え:年間1490億円(2018年 製薬会社1社あたり)
新薬の開発費の平均は、552億円。
薬の開発費のために、会社の合併が増えているとも言われているそうです。
研究者の失敗から生まれた薬がある
細菌の入ったケースに、青カビが入ってしまうといった失敗がありました。
しかしよく見ると、その青カビの周りの細菌が死滅していることに気が付きます。
この結果を追求した結果生まれたのが、最初の抗生物質「ペニシリン」です。
薬の成分はどうやって見つけるの?
ジャングルにいる「ヤドクガエル」という毒ガエルの皮ふからは、「モルヒネの200倍の鎮痛効果」と「依存性のない鎮痛成分」が取れました。
この毒は、現地の人が毒矢を作るのに使用する猛毒だそうで、現在も研究中なんだとか。
アメリカドクトカゲの唾液からは、「糖尿病」や「肥満の治療薬」が作られました。
最初に見つけた原因は、このトカゲが満腹の状態でも血糖値が上がらないことに気付いたからだそうです。
2005年にアメリカで薬になり、2010年には日本でも認可されている薬とのこと。
池上さんは、まさに「毒が変じて薬になる」と言っていました。
思いもしないものが薬になることがあるんですね。
ほんと驚きました。
このように、自然界から薬を作るのは多大な苦労がかかることから、普通は新薬を化学合成で作るのが主流なんだそうです。
その際に使用される主な原料は、「石油」
この「石油」から安定して取り出されるのが、薬の成分としてよく使われる「炭素」だということです。
まとめ
薬とワクチンの違いから、最後には薬の成分の見つけ方まで、幅広く知識が身につきました。
特に、なんで病院で診察された後、一度外に出て別の薬局に行かなければならないんだろうと思っていたことの謎が解けました。
病院が勝手な利益を上げないこと、国が医療費を下げるために考えたこと、様々な思惑が関わっていたんですね。
その薬を作るために多くの研究者の方達が、試行錯誤の上に開発された薬は本当にありがたいものです。
そしてこれらのことを、分かりやすく解説してくださった池上さんにも感謝したいと思います。