※この記事はご自身が認知症である方と、認知症のある方と関わりの人に向けての記事です。
最近自分のしたことを忘れてしまう、同じものを何度も買ってきてしまう、人の顔が分からなくなるといった経験はありませんか?
もしかしたらそれ、認知症による心身機能障害によるものかもしれません。
自覚があり、自分をサポートしてくれる人が周りにいる環境なら安心ですが、そうではないのなら注意が必要かもしれません。
例えば認知症の方がお湯を沸かそうとした場合、ヤカンに火をつけたまま、お湯が沸いているのを見て慌てて火を止めたものの、火をつけたこと自体をまったく思い出せないそうです。
これはあくまでも一例に過ぎませんが、この他にも沢山のトラブルが身に降りかかってくることと思います。
それって単なる「もの忘れ」じゃないの?と、思う方もいるかもしれませんが、「もの忘れ」の症状と「記憶障害」は全く異なる問題です。
本記事を読めば認知症のある方に今、どんな問題が起こっているのかを正しく知り、これからどう対応していいのかがわかると思います。
- 認知症がある方の気持ちや困りごと
- 認知症とは何なのか?
- どうしてそんなことをするのか「行動の理由」
「思い出せない、わからない・・・」
生活をするうえで、こんなことが度々あっては不安ですよね。
いったい何が起こってしまったんでしょうか?
それではさっそく見ていきましょう~
認知症世界の歩き方を読んだ学びと要約
あなたは認知症世界を旅する旅人。
この物語に登場するのは、架空の主人公でも、知らないだれかでもなく、「少し先の未来のあなた」や、「あなたの大切な家族」です。
認知症世界の旅、はじまり、はじまり。
認知症世界の歩き方より
この本は、こんな形で「認知症のある人が生きている世界」がわかるストーリーを、認知症の方ご本人の視点から見た世界として「旅行記形式」にしてわかりやすく説明されています。
更には、そのストーリーの中で起こるトラブルの原因を「認知症による心身機能障害の44項目」として、詳しく説明されています。
大きく分けると次の4つに分かれるよ
1.記憶のトラブル
2.五感のトラブル
3.時間・空間のトラブル
4.注意・手続きのトラブル
ここから更に細かく枝分かれて、合計44項目の「~ができない」といったことが心身機能障害として抱える問題なんだ
そもそも「認知症」とはなにか?
物語に入る前に「認知症とはなにか」について学びましょう。
「認知機能が働きにくくなったために、生活上の問題が生じ、暮らしづらくなっている状態」のこと。
何かが出来ないことは本人の努力不足なんかじゃなくて、こういった問題を抱えている人がいるということを知っておいてね。
決してバカにしたりしないように。
乗るとだんだん記憶をなくすミステリーバス
いつもと同じ時間に、いつもと同じようにして乗ったバス。
行き先だってもちろんわかっています。
バスに揺られながら、少しぼ~っとしていると「今、自分はどこにいるのか、どこに向かっているのか、どこから来たのか」が、分からなくなってしまいました。
不安にかられたまま終点まで行くと、運転手さんから定期券を持っているはずだと言われ、それを見てようやく自分の目的地がわかりました。
これが「記憶障害」の特徴です。
次でもう少し詳しく見ていきましょう。
「~に向かっていた自分」そのものを忘れる
「降りる場所」だけではなく「~に向かっていたこと自体」を忘れていた。
これが「記憶障害の特徴」だとしたら、「もの忘れ」ではどうなるのか。
答えは、何かのきっかけで思い出すことができることにあります。
記憶障害は「自分が考えていた・行動した」こと自体を忘れ、
もの忘れなら「覚えていたときの自分」を思い出すことができるんだ
バスや電車から降りられなくなる理由
思い出すことができない背景には何があるのでしょうか?
それは、「記憶のプロセスに障害がある」ということだそうです。
- 記銘する(知識・情報を取り込む)
- 保持する(覚えておく)
- 想起(思い出す)
通常①~③の順番でものを覚えて、必要なときに思い出すことができます
だけど認知症の方は、
①最初から頭に入らない
②すぐに忘れてしまう
③何かきっかけがあっても思い出すことができない
このような原因が背景にあるんだよ
お風呂を嫌がるのはどんな原因があるの?
介護をされている人からよく聞くお話とのこと。
これは、「認知機能のトラブル」によるものだそうです。
- ある対象を目・耳・鼻・舌・肌などの感覚器官でとらえ、それが何かを解釈したり、計算や言語化をするなど、記憶に留めたりする働きのこと
この認知機能のトラブルによって、
・お湯が極端に熱く感じる
・お湯がぬるぬる感じて気持ち悪い
・服の着脱が難しい
・お風呂ならさっき入ったよ(記憶違い)
このようなことが原因で嫌がるそうです
認知症とともに生きるためには
- 「認知症」と「認知機能」についてを正しく理解すること
- 一人で悩まないこと
- かかりつけ医・役所の高齢福祉担当・介護保険担当窓口・地域包括支援センターなどに相談する
- 「認知症のある本人の会」などの当事者同士のつながりをもつ
- 人に話すのが嫌ならノートに書き出してスッキリすること
もちろんこの他にも色んな方法があるけれど、
認知症の方もそうじゃない方も、
「お互いに理解し合うこと」が大切になってくると思います。
認知症世界の歩き方まとめ
今回紹介させていただいた「ミステリーバス」はほんの一部でしかありません。
(というか、最初のPART1でしかないです)
この他にも様々な旅先があるのですが、どの先も認知症のある方には「心身機能障害」がさまたげとなってきてしまいます。
そんな中でもやはり大切なのは、
- 「認知症」と「認知機能」についてを正しく理解すること
- 認知症の方もそうじゃない方も、お互いに理解しあうこと
- 思いやりの気持ちをお互いにもつこと
この気持ちをもってさえいれば、トラブルの原因もいくらかは抑えることができると思っています。
最後に、この他にも認知症を抱える方が書かれた本を載せておきますので、ご興味がある方はご参考にされてください。
では、また。