前回の記事、【話のネタ】面白いほどよくわかるギリシャ神話【ゼウス編】の続きです。
マンガ 面白いほどよくわかる! ギリシャ神話今回の舞台はゼウスの兄弟と子供たち、オリュンポス12神と呼ばれる神たちが主人公となります。
しかしすごいスケールでの親子喧嘩でしたね。
ようやく世界を統治したゼウスとはいえ、ちょっと女性にだらしがなかったようで・・・
面白いほどよくわかるギリシャ神話【オリュンポス12神編】
昔からこういった世界を統治するような人って、女好きだったりしますよね。
それだけ元気があって精力がないと務まらないんでしょうか?
その結果、彼を取り巻く人たちは苦労することもあるみたいです。
最高神ゼウスの浮気癖と、妻ヘラの嫉妬
登場人物紹介
- ゼウス・・・世界を統治する最高神
- ヘラ…ゼウスの正妻であり、ゼウスの姉
- デメテル・・・豊穣の女神。ゼウスの姉
- ヘスティア・・・かまどの神。ゼウスの姉
- ポセイドン・・・海の支配者。ゼウスの兄
- ヘルメス・・・伝令と商業の神。ゼウスと女神マイアの子
- ヘパイストス・・・鍛冶の神。ゼウスとヘラの子
- アフロディーテ・・・愛と美の女神。ヘパイストスの妻
- アレス・・・戦争の神。ゼウスとヘラの子。アフロディーテの間男
- アルテミス・・・純潔と狩猟の神。ゼウスと女神レトの子
- アポロン・・・光と予言の神。ゼウスと女神レトの子
- アテナ・・・戦いと知恵の神。ゼウスと知恵の女神レティスとの子
- 「上記12人が、オリュンポス12神と言われる神々」
- ハデス・・・冥界の支配者。ゼウスの兄
- ペルセポネ(コレー)・・・ハデスの妻。ゼウスとデメテルとの娘
- エロス・・・恋の神。アフロディーテと軍神アレスの子
- プシュケ・・・美貌の王女。エロスの妻
- オリオン・・・半神の狩人。ポセイドンの子
ある日ゼウスは、結婚の女神ヘラに会うため、鳥の姿に化けてやってきました。
その目的は彼女を妻として迎え入れたいため。
何とかしようと必死で口説きますが、
ヘラは、
「あなたがこれまでにどれだけの女を触れてきたか、知らない私じゃなくてよ?」
と、いっこうにゼウスの言葉を受け入れません。
「ではどうしたら私の愛を信じてくれるのだ?」というゼウスに、
「そんなに私を求めるのなら、正妻に迎えてくださるかしら?」とヘラは言いました。
そんなことはお安い御用だと言わんばかりに、ゼウスはヘラを正妻にすることにしました。
ヘラを正妻に迎えてから束の間、ゼウスは人間の女性との間に子をもうけます。
それを見たヘラはあまりにも無節操だと激昂。
怒りはそのままに、かまどの神ヘスティアのところへ愚痴をこぼしに来ました。
ヘスティアは初めからゼウスとの結婚なんて反対だったようです。
さらに、
「ゼウスは神としての器は随一だけど、男としては最低なのよねぇ~」
とまで言ってのけます。
二人が話をしているところへ、伝令と商業の神ヘルメスが子供を連れてやってきました。
あらどこの子?と問う2人にヘルエスは、
「こちらはトロイアの王子、ガニュメデス君です。ゼウス様が大変気に入られたため、下界から連れてくることになりました。今度からここで給仕としてお仕えするのでよろしくお願いします。」
と言います。
次から次へと子どもをつくったり、連れてきたりするゼウスにヘラの嫉妬心はおさまりません。
元々結婚の女神として貞節を司るヘラは嫉妬深く、ゼウスの浮気の度にその相手や子どもへ激しい怒りをぶつけていきました。
ヘラの目を恐れて、ゼウスにより牝牛の姿に変えて匿っていた愛人イオは、ヘラに見つかり、巨大な怪物に見張られアブに追い回される羽目に。
人間である王女セメレは、ヘラにそそのかされてゼウスの真の姿を見たいと望み、そのまばゆさゆえに焼かれて絶命しました。
ちなみにこの王女セメレは、オリュンポス12神の一人にも数えられる、ディオニュソス(ブドウ酒の神、ローマ神話名では、「バッカス」)の母親です。「バッカスの酒」でわかる人もいるんじゃないかな。
輝かしい子を産むと予言されたティターン神族の娘レトは、ヘラにより出産の場を奪われ、9日9夜苦しみさまよいました。
そこへ何とか助けようとして、ヘラの目から逃れてきてくれたのはお産の女神エイレイテュイアでした。
ゼウスとヘラの間に生まれ、ヘラの供をしていたエイレイテュイアのおかげで、レトはようやく出産を迎えることができました。
このときに生まれたのが、光と予言の神アポロンと、純潔と狩猟の神アルテミスです。
こうして生まれた子どもたちは名高い神となることも多く、ゼウスを筆頭としたオリュンポス12神の半数は、彼の子どもが担っています。
アテナとポセイドンの戦い
とある地の守護神の座をめぐって、知恵と戦いの女神アテナと、海の神ポセイドンが言い争いを始めました。
どちらが守護神としてふさわしいかを決めるため、二人は人間へ贈り物をして選んでもらうことにしました。
まずポセイドンは「海水の泉」を。
アテナは「オリーブの木」を与えました。
オリーブの実は漉(こ)して油を取ることができ、木は食器や武器にすることができます。
対して海水の泉をもらったところで、飲むこともできません。
結果は明らかでした。
人間はオリーブの木を与えてくれたアテナを守護神として選びました。
これに納得のいかないポセイドンは、町を海にしてしまいかねないほどの怒りをぶつけますが、それをゼウスが止めに入りました。
兄であるポセイドンと、自分の子であるアテナの2人をなだめ、ケンカを仲裁したゼウス。
後にこの地は「アテナイ」として発展していくことになりました。
そして仲直りをした二人には、それぞれに新しい神殿を与えました。
冥界の王ハデスの結婚
めったに冥界から出ることのないハデスが、この日は珍しく天界へ来ていました。
ゼウスと豊穣の女神デメテルとの間の娘、コレーを嫁にもらいたいとのこと。
この申し出に喜び、さっそく娘のコレーに話を通しておこうとゼウスは約束をします。
~幾日後~
最近、下界からの供物がめっきり減ったことをいぶかしむゼウスとヘルメス。
どうやら人間界では作物の実りが悪く、不作が続いているようです。
原因は、豊穣の女神デメテルが、娘のコレーのことをゼウスから一言も聞いておらず、ある日こつ然と姿を消してしまった娘を憂いて、ふさぎ込んでしまったことでした。
冥界では、突然連れてこられて泣き止まないゼウスの娘コレーへの対応に、ハデスはどうしたらいいのか困っていました。
手元にあるのはザクロの実。
とりあえずこれでも食べてくれと与えても、泣き止みません。
それもそのはず、コレーは誰からも詳しい事情を聞かされていませんでした。
いい加減なゼウスと、冥界の王とだけあって奥手なハデスの不手際が原因です。
そこへ伝令の神ヘルメスが、コレーを一度返していただきたいと迎えにやってきました。
豊穣の女神デメテルへも悪いことをしたと反省するハデスは、コレーを天界に帰すことにしました。
帰り際、なぜ私を選んだのかを聞くコレーに、ようやく自分の想いを告げるハデス。
コレーが天界へと帰ると、母である女神デメテルは喜んで迎えました。
「ああ・・・よかった!怖かったでしょう?」というデメテルに、
「いいえ、ハデス様はとてもよくしてくださいました。私を落ち着かせようと、ザクロの実をごちそうしてくださったんです。」とコレーはいいます。
これは大変なことになったと青ざめる女神デメテル。
実は冥界の食べ物を口にした者は、冥界にとどまらなくてはならないという掟があります。
コレーは口にしたザクロの分だけ、1年の3分の1を冥界で過ごさなければならなくなったのです。
その結果、女神デメテルは娘のコレーがいない間、悲しみに暮れるあまり不作の季節を呼び込んでしまい、こうして「四季」が生まれました。
一方で、ハデスに嫁いだコレーは、冥界の女王ペルセポネとなり、夫と共に冥界を統べていきました。
恋の神エロスとプシュケ
愛と美の女神アフロディーテは、愛欲に溢れた女神でした。
ある日、軍神アレスとの間にもうけた子、恋の神エロスに命じます。
「とある国にプシュケという娘がいるわ。その娘にあなたの矢でとびきりいい男をあてがってやって頂戴」と。
エロスの黄金の矢には、射られた者を激しい恋に落とすという力がありました。
アフロディーテは、自分よりも美しいと評判のプシュケが気に入らなかったのです。
母の命令にすぐさまプシュケの元へ赴くエロス。
エロスは、眠るプシュケのそばに立ったとき、寝返りを打ったプシュケの顔を見て一目ぼれをしてしまいました。
その美しさに見とれているとエロスは誤って自分自身に矢を落としてしまい、プシュケに恋をするのでした。
しかしプシュケへの嫉妬心に燃える、母アフロディーテに言うことはできません。
エロスは母に内緒でプシュケを妻にするため、彼女を西の果ての宮殿へ連れ出しました。
そこで自分の正体を明かすことなく、夫婦として生活することにしたのです。
暗闇の中でしか会えない夫でしたが、プシュケの心は満たされていました。
しかし、プシュケの豪華な暮らしを羨んだ姉たちは、一度も夫の顔を見たことがないなんておかしいと口々に言います。
いつものように暗闇の中で夫エロスと一緒にいるプシュケ。
昼間、姉たちから言われた言葉が気になって眠れません。
一度でいいからお姿を見てみたいと魔が差したそのとき、ロウソクの明かりに灯されたエロスの顔を見てしまいました。
このことがきっかけでエロスは、自分のことを疑い、姿を見ないという約束を破ったプシュケの元を去ってしまいます。
プシュケのことを日々想うエロスと同じく、プシュケもまたエロスのことを想っていました。
そしてプシュケはエロスを探して様々な場所をめぐり、ようやくアフロディーテのいる宮殿にたどり着きました。
エロスに会わせてもらえるよう懇願するプシュケに対し、アフロディーテはいくつかの試練を与えます。
それを乗り越えたあかつきには、会わせてやると約束しました。
アフロディーテから試練を与えられたプシュケは、次々と難題を乗り越え、残すところは最後の試練だけとなりました。
最後の試練は、冥界の女王ペルセポネから「美しさ」を分けてもらうこと。
しかし不審に思ったペルセポネは、「美しさ」と偽って「眠り」を入れた箱をプシュケに渡しました。
帰り道、試練を乗り越えたプシュケの姿はボロボロ。
少しくらいは美しさを分けてもらいたいと箱を開けた途端、プシュケは眠りに落ちてしまいました。
冥界の眠りともあって、プシュケの体は死人のような色に。
それを見ていたエロスは嘆き悲しみ、プシュケの元へと駆け寄ります。
どうか戻ってきておくれと願うエロスの思いが通じたのか、プシュケは眠りから目を覚ましました。
その後2人は、ゼウスに結婚を認めてもらい、プシュケは神酒ネクタルを飲んで女神となったそうです。
ヘパイストスの復讐
鍛冶の神ヘパイストスは、ゼウスと正妻ヘラとの子でした。
ヘラは一人でへパイストスを生んだものの、その醜さゆえに彼を捨てています。
そのヘラに復讐をするため、鍛冶職人となったへパイストスは自らが作った椅子をヘラの元へと贈りました。
そんなこととも知らずにその椅子に座ったヘラは、椅子から立つことができなくなってしまいました。
ヘラの前へと姿を現したヘパイストスは、まずは自分にした仕打ちを心から詫びてほしいと言います。
なんだ、そんなことかと心にもない詫びの言葉をヘパイストスにかけるヘラ。
その言葉に納得のいかないヘパイストスは、もう一つの願いを叶えるようヘラに言いました。
それは、愛と美の女神アフロディーテとの結婚でした。
ヘラのいいつけで仕方なく、へパイストスと結婚をしたアフロディーテ。
その美しさで名をはせるアフロディーテが、醜男(ぶおとこ)と結婚をするなんてと天界は大騒ぎとなっていました。
しかし結婚したとはいえ、愛欲に溢れる女神のこと。
夫ヘパイストスのいない間に、軍神アレスを部屋に招き入れます。
不倫関係にありながらもその関係を楽しむ二人を、ヘパイストスの作ったベッドが鎖で縛りあげました。
こうなることは初めから分かっていたというヘパイストス。
では、なぜ私を妻にしたのだと言うアフロディーテに、
「あなたのような身勝手な女たちが嫌いなだけだ」
と言い放ちました。
逢瀬の現場を押さえられ、さらに伝令の神ヘルメスたちが天界中にふれまわったことで二人はさらし者になってしまいました。
さらに、結婚の女神が与えた縁とあって、ヘラは大恥をかくこととなりました。
こんなはしたない女は願い下げですと返却を願い出たヘパイストスは、みごと二人の身勝手な女に復讐を果たしたのです。
その後ヘパイストスは、ゼウスに技巧の腕を認められ、オリュンポス12神の一人として迎え入れられました。
ちなみに、前回の話で出てきた恋の神エロスは、軍神アレスとアフロディーテとの不倫の末の子、ということになります。
アポロンの恋人たち
光と予言の神アポロンは、失恋ばかりを繰り返してばかりいました。
英雄と女を取り合って競り負けたり(マルペッサ)、可愛い少年を円盤投げに誘ったら誤って死なせたり(ヒュアキントス)、追っかけた女があまりに嫌がって自らを木に変えてしまう(ダプネ)など・・・
下界トロイアへ向かった際には、トロイア王女カサンドラと喧嘩になり、
「これから君の言葉はすべてが嘘になる!」
と言い残し、カサンドラの言うことをだれも信用しなくなったため、後の大きな戦争でも滅びゆく国を見守ることしかできないようにしてしまいました。
アポロンにこのような話が多いのは、彼に愛されることは喜びよりも、畏(おそ)れが先立つためだと言われているそうです。
狩人オリオンとアルテミス
ポセイドンの息子オリオンと、 狩猟の神アルテミスは仲睦まじく狩りを楽しんでいました。
その二人の関係を喜ばしく思っていないアポロンは、海辺で眠るオリオンに向けてサソリを放ちます。
~翌日~
今日も狩りの約束をしていたオリオンを待つアルテミス。
なぜか約束の時間になっても来ないオリオンを心配しています。
するとそこへアポロンがやってきて、オリオンが来るまでの間、僕と狩りの弓比べをしようと言いました。
的は、海の上にキラキラと光るところ。
きっとあれは大物に違いないと言うアポロンに、なら私が一発で仕留めてやるわ!と自信満々のアルテミス。
放った矢は見事的中。
獲物を確認しに行くと、そこに浮かんでいたのは矢に貫かれたオリオンの死体でした。
実は昨晩、アポロンの放ったサソリから逃げようとオリオンは海の中へと逃げました。
そしてアルテミスが射た光とは、オリオンの頭が太陽に反射したものだったのです。
嘆き悲しんだアルテミスは、ゼウスに生き返らせるよう頼みますが、それはできないと断られてしまいます。
その代わり彼を空に上げてあげるから、夜空を見上げる度に彼を想ってあげなさいと言われました。
こうしてオリオンは星座になったのです。
まとめ
もう憎しみと嫉妬でお腹いっぱいです(笑)
下手したら人間よりもひどいんじゃないかな・・・
これが人々が作り出した神話たるゆえんなのかもしれませんけどね。
でもやっぱり神様同士のつながりなんかは面白い!
ここまでで、まだ本の半分ほどしか紹介できてませんが、僕がよく知っている話はここまでのため、興味のある方は続きは本にてご確認ということでお願いします。
急に放棄したみたいでごめんなさい🙇
では、また。
マンガ 面白いほどよくわかる! ギリシャ神話