今回は、「大切な人を亡くしたあなたに知っておいてほしい5つのこと」という本をまとめました。
大切な人を亡くしたり離別を経験すると、そのショックにより深い悲しみの中から出られず、以前のような日常生活に戻るのは非常に難しいことと思います。
このようなつらい経験をされた方は、「大切な人を亡くしたあなたに知っておいてほしい5つのこと」を知ることで、今よりもずっと心が楽になると思います。
具体的には、死別を体験した人に起きる「感情への影響」「身体への影響」「周囲への影響」「精神への影響」「未来への影響」これら5つの影響を詳しく知ることで、自分の今の状態を認められるようになり、結果としてだんだんと気持ちが軽くなるといった解決策を紹介していきます。
その解決策を書いた本の著者は、「日本グリーフ専門士協会代表理事」という肩書を持つ、心のケアを専門とするスペシャリストです。
※グリーフとは、「悲観と反応」のことであり、「寂しい」「つらい」「空虚感」などの複雑な気持ちを心の中に押し込めた状態のことです。
深い悲しみから、ずっとつらい思いをされている方はぜひ一度、これから紹介する方法を試してみてください。
1.哀しみがあなたの感情に影響すること
大切な人を亡くしたばかりの状況では、ほとんどの人が大きな悲しみを抱え、今後どうしたらいいのかと不安になることでしょう。
人が道に迷って不安になるときは、大きく分けて2つのことが考えられるとされています。
- 自分はいったいどこにいるのか
- どの方向に向かって進めばいいのか
この不安を和らげる方法は、次の2つです。
- 「心の地図」を持つ
- 「グリーフスパイラル」で自分の状況を確認する
グリーフスパイラルとは、大切な人(物)を失った喪失感から始まり、何度も似たような現象を体験しながら、最終的に自分らしく生活できるようになる局面までの道のりのことです。
~グリーフスパイラルとして起こる各現象~
- 喪失(亡くなってしまった)
- 混乱(どうしよう・・・)
- 否認(そんなの嘘だ!信じたくない)
- 怒り・罪悪感(もっとあの時こうしていれば・・・)
- 抑うつ(やる気が起こらない)
- あきらめ(仕方のないこと)
- 転換(いつまでも悲しんではいられない)
- 再生(前向きに生きよう)
※各局面はランダムに表れます
この中で自分が今どこにいるのかを知ることで、これからどこに向かっていけばいいのかという「心の地図」ができ、不安解消の道しるべになるといわれています。
それでもつらいというときは、自分をケアする方法として、「バタフライハグ」を行うといった方法が紹介されています。
~「自分をケアするバタフライハグ」~
- 目をつぶって身体の前で手を交差させる
- 頭の中で、自分にとって心地がいいものを思い浮かべる
- その状態のまま、自分自身を優しく抱きしめる
- 2分ほど両肩をトントントンと優しく刺激する
- ゆっくり目を開けていく
僕自身、一度行ってみたところ、だんだんと落ち着いた気持ちになってきました。
心が落ち着かないときはぜひやってみてください。
2.哀しみがあなたの身体に影響すること
悲しみを抱えたまま誰にも言えない人や、それをあえて言わない人もいると思いますが、ちゃんと自分の今の気持ちを誰かに伝えることができていますか?
1人で我慢をし続けていても、いつかは心が壊れてしまいます。
もしかしたら我慢しているという人は、人に言えない理由や、あえて言わない理由が次に紹介する「4つのガムテープ」という障害に当てはまるのかもしれません。
~不安を口に出せなくする4つのガムテープ~
- 環境・・・明るい昼間につらい話をしてといわれてもなかなか話せない
- 立場・・・長男または責任者だから弱音を吐けない
- 慣習・・・地域や家族のルールによるもの。(例)一定の期間に涙を流すと死者に未練が残ると考え、泣かないよう促す地域がある
- 信条・・・男は黙るべきなどの信念や思い込み
この「4つのガムテープ」を無くし、安心して話せる場や相手を探してみることが、心の不安を和らげることにつながるとのことです。
ネット検索したところ、遺族会などの大切な人を失って、つらい思いをした人達の集まる会がいくつかありました。
そういったところでの出会いも、心の不安を人に言うことができるようになるための一つの選択肢になると思います。
3.哀しみがあなたの周囲に影響すること
大切な人を失うことで、あなたの行動が次のように変わることがあるそうです。
- 大切な人の物が捨てられない
- 亡くなった人を思い出すような場所へ行けなくなる
- 亡くなった人とつながりのあった人達との関係が疎遠になる
- どうせ自分の気持ちは分からないだろうと、人と一緒にいるのが嫌になる
このような影響がある中で、悲観が長くなったり強くなったりする理由が次にあげられる7つのポイントからなるとのこと。
- 誰が亡くなったのか
- 死因
- 故人との関係性
- 過去の喪失体験
- 本人の気質
- 周囲のサポート
- 喪失後の二次的な影響
更に、悲観が複雑になる典型的な例は、幼少期からの親との関わりにより、好きだけど嫌い、離れたいけど離れられないなどの複雑な感情を抱えていると、悲観が長引いたり、重くなる可能性があるそうです。
このように傷ついた自分を癒す方法として、「ミラーワーク」というものが紹介されています。
~「 傷ついた自分を癒す鏡を使ったミラーワークの方法」~
- 椅子に座り、ゆっくり深呼吸をして目を閉じる
- 目の前に幼い時の自分を想像する
なんとなくイメージができたら、次の中から何をしてあげたいのか一番しっくりする方法を選ぶ。
- その子に伝えたい思いを手紙に書く。書いた手紙は大事にとっておく
- 鏡に映った自分または、幼いころの自分に向かって「頑張ってきたね」「大丈夫だよ」といった言葉を優しくかける
- イメージの中のその子を優しく抱きしめる。その子が落ち着いたら「いつでも一緒だよ」と伝えてゆっくり目を開ける
僕は一度、過去の自分に戻るといったカウンセリングを受けています。
その結果、幼少期に傷ついた自分を慰めることができたうえに、当時から心にフタをしてきた自分の本当の気持ちを解放することができ、長い間引っかかっていた心のしこりを取ることができ、心がとても楽になりました。
もし、いまだに泣いているその子がいるのなら、どうか優しく慰めてあげてください。
4.哀しみがあなたの精神に影響すること
死別を経験したうえでの精神的な影響とは、もちろん目には見えないことの問題をいうそうです。
例えば、
- 今まで信じてきた宗教への信仰心が薄れてしまった
- 亡くなった人を夢で見るようになった
- どうして自分だけ残されてしまったのかといった感覚になる
- これから亡くなる人を前にして、相手の死後に受けるはずの悲しみ(予期悲観)を感じてしまう
これらの精神的な影響は、当然誰にでも当てはまるのではないでしょうか?
大切なのはここでも自分の悲しみと正直に向き合い、亡くなった相手へ思いを伝えることで気持ちの整理ができるとのことです。
その故人への思いを伝える方法とは、「亡くなった相手に手紙を書くこと」がいいそうです。本書では「グリーフレター」と言っています。
~「亡くなった相手に手紙を書く方法」~
- 相手の遺品、またはその人を想起するものを探す
- その品物を前にして、相手を思い浮かべて手紙を書く
手紙を書く際は、なるべくパソコンではなく、紙とペンで書くことがおすすめとのこと。
もし僕が亡くなった父親に手紙を書くなら、言いたいことは結局のところ感謝しかないのかなと思いました。
そして父親からは「こちらこそありがとう」と言ってもらえるような気がして、心が楽になりました。
5.哀しみがあなたの未来に影響すること
未来に影響することとは、これから来る様々な「故人と一緒に過ごしてきた記念日」や「思い出の場所」のことです。
- 誕生日
- 結婚記念日
- クリスマス
- 大晦日
- お正月
これらの大切な記念日が近づいて来るたびに、仕事でミスをしたり、ケガをしてしまう人も少なくないとのこと。
~それらの反応との向き合い方~
- あらかじめ記念日が近づいて来る前に、自分の行動を決めておくこと
例えば、クリスマスは友達と集まって過ごすなど、事前対処を考えておくことで気持ちを落ち着かせることができるとのことです。
僕の実家では毎年大晦日とお正月には、父親と一緒にカニ鍋とお雑煮を食べていました。
しかし、それを作ってくれた父親はもういません。
自分が代わりにいつもと同じことをしても、父親がいないという空虚感はぬぐえませんでした。
今では奥さんと一緒に毎年大晦日とお正月には、これまでとは違ったことをして楽しんでいます。
僕なりの事前対処は、「新しいルールを作る」ということ。
寂しいのなら、次々と新しく楽しい思い出を作り出していけばいいと思っています。
そのほうがきっと、故人も喜んでくれるに違いないでしょう。
まとめ
今回紹介させていただいた5つのことは、誰にでも起こる自然な反応です。
それをあえて否定したり、反応を拒絶したりすると、何らかの悪影響が出てきてしまうといったことでした。
大切なのは、不安な気持ちやつらい思いをちゃんと認めること。
そしてそれを恥ずかしがらずに吐き出すこと。
故人を思い、自分を大切にすることも忘れないようにしなければなりません。
この記事を読んで、少しでも皆さんのお役に立てたのなら幸いです。
では、また。
今回紹介した本はこちら ➡ 大切な人を亡くしたあなたに知っておいてほしい5つのこと