毒親について色々と本を読んできた結果、この本は漫画になっていて分かりやすかったのでオススメします。
毒親サバイバル (中経☆コミックス)毒親育ちで、最近になってようやく親と縁を切ることになった僕は、自分以外にも毒親育ちの人っているんだろうなと思って読んでみました。
でも、そもそも本当にうちの親は毒親だったのかな?
なんて思うところもあったりしながら、長いこと苦しんできました。
この本を読んで、少しでも僕と同じ思いをしている人の助けになったらいいなと思っています。
毒親サバイバルってどんな本?
引用です。
親に押しつぶされなかった有名無名11人の、赤裸々な体験談。
菊池さん自身も含めて登場する、有名無名の11人の人々が
親から受けた傷はみんな違います。
アルコール依存症の親、暴言と暴力の親、価値観を一方的に押し付ける親、
果てしなくお金をむしりとる親、そんな状況を見て見ぬふりする親……。
毒親に育てられた子どもたちにとっての最大の悲劇は、
「家族ってこんなもの」「これが当たり前」と思いながら育ち、
自分が悪い、自分がヘンだとの想いから逃れられないこと。
大人になってからは「連鎖」におびえること。
本書は、親と同じ道を選ばないために、全身、全力でサバイバルしていく11人のさまを、
リアルにコミック化した、コミックだからなしえた作品です。
毒親サバイバル | 菊池 真理子 |本 | 通販 | Amazon
大人になってからは連鎖におびえるとは、自分の子供に対しても親にされたことをしてしまうのではないかということ。
虐待をした親こそが、子供のころに虐待を受けていたなんて話はよくあることですよね。
作者はそんな辛い思いをした子供が大人になったとき、親から逃げる選択ができるように、逃げてからもさらに傷つけられないような世の中になるように、と願ってこの本を書かれています。
家族=親を否定することは、死を意味する
僕は親からどんなに酷いことを言われても、人から言われるのは「それでも親は親だから、ちゃんと大切にしなさい」と何度も言われるうちに、そうかやっぱり自分が間違っているんだと思わされてきてしまいました。
でもそうじゃないんだよ。
それこそが子供にとっての最大の悲劇なんだよって、教えてくれるのが「毒親サバイバル」
です。
毒親サバイバルの内容
ここからは毒親から生還した「元子供たち」11人の、ノンフィクションによる話が展開されます。
まずは作者の実体験から。
菊池真理子(マンガ家)の場合
自分の家庭環境がおかしいことに気付かないまま大人になった作者は、両親共に亡くなって初めて自分の中の「普通」にヒビが入ります。
酔うと化け物になる父がつらいこちらの本はまだ読んでいませんが、この本を出版したときの読者からの感想のおかげで「うちは普通」という思い込みから解かれたそうです。
思い切って人に知ってもらうことで、いろんな人と悩みを共感できたんですね。
気が付けてよかったです。
朽木誠一郎(医療記者)の場合
常に人を見下し、他人からうらやましがられたい母親に、将来は医者になるようにと育てられた朽木さん。
反発しながらも医学部に進みますが、依然として医者になれとヒートアップする両親とは距離を置き、自分で選んだ記者への道を進みます。
今後、結婚して子供ができたとしても、悪影響しか及ぼさないだろうという理由で、今後二度と家族とは会わないそうです。
結局のところ、朽木さんの両親が愛していたのは自分自身だったんでしょうね。
自分の子どもにまで人の悪口を吹き込まれたり、将来を強要をされるのは絶対に避けたいところ。
距離を置くのは最善策なのかもしれません。
成宮アイコ(朗読詩人)の場合
祖父から殴る蹴るなどの暴力をふるわれ、暴言を吐かれ続ける日常を続けるうちに、今度は父親が失踪してしまいます。
子供を置いて、自分だけ逃げるなんて最低ですよね。
そんな行き場のない感情を詩にすることで、人との交流を図れるようになったアイコさん。
祖父への復讐を詩にしても憎しみは消えず、祖父が亡くなったときにはひどいウツになったそうです。
いちど自分の中で渦巻いた黒い渦は、一生かかっても消えないのかもしれません。
須藤正樹(編集者)の場合
幼いころの須藤さんは、詐欺師にして宗教家の祖母と共に過ごします。
この祖母、一言でいって変態です。
体の隅々(局部)まで全部洗わせたり、毎日ウ〇コのチェックをさせたり、健康飲尿法といってコップにおしっこをする人。
ただよかったことと言えば、とんでもなくお金持ちのお家だということ。
祖母のせいで弟まで引きこもりになったにも関わらず、助けてくれない両親に、「財産使い切る前に死ね!」と落とし前をつけるように言います。
お金だけあっても、育った環境から変人として生きていくことを決意した須藤さん。
子供は大人のおもちゃじゃありません。
成田全(ライター)の場合
今回は24時間ネチネチと、人のやること全てに文句を言ってくる父親が問題です。
何か頼みごとをするときは、正座して頼み込まなければなりません。
そんな環境で育った成田さんは、自尊心が低く、死にたいという衝動に悩まされます。
父親が亡くなり、大人になってからようやく、親の言うことは聞かなくていいし、捨てたっていいんだということに気付きます。
そして捨ててはいけないのは、自分の人生であるということも。
否定され続けた人間が、自分に自信を持つことの難しさを僕は知っています。
成田さんの場合も、父親が亡くなる前の15年間は距離を置いていたそうです。
やはり、一旦距離を置くことが大切な処置なのかもしれません。
石山良一(会社員)の場合
祖母のおかげで裕福なお家ではありますが、石山さんが生まれるころに家出した父親と、パチンコ依存症の母親をもつ話です。
この母親は困ったことに、自分の子どもの給食費から学費など、ありとあらゆる人にまでお金をせびってはパチンコにつぎ込みます。
祖母が亡くなった後、家庭は崩壊、それでも突然始まった母親の介護をしようとしますが、母親に組まされていた消費者金融のローン等で自己破産をします。
そこまでして母親にお金を渡してしまうなんて、普通なら考えられないですよね。
でも「異常」を「普通」として刷り込まれたら、誰だってこうなるのかもしれません。
米沢りか(マンガ家)の場合
米山さん(以下りかさん)は、母親から意地悪ばかりをされて育ちました。
その理由は、この母親がファザコンのため、自分の父親そっくりな旦那さんから、少しでもりかさんが可愛がられているのが気に入らないといった図式です。
にも関わらず、りかさんの両親は365日ケンカが絶えなかったそうです。
- 父親・・・母方の父親(りかさんの祖父)に顔がそっくり
- 母親・・・りかさんを女としてライバル視
- 長男・・・りかさんの7歳上
- 次男・・・りかさんの5歳上
- りかさん・・・マンガ家(今回の主人公)
母娘なのに、旦那を巡って嫉妬なんてことがあるんですね・・・
毎日のように腐ったご飯を出され、持たされた弁当箱はウジ虫が湧いていたそうです。
りかさんが32歳のとき、この母親はアルコール依存症の痴呆になって亡くなります。
その後、りかさんの母親から愛されていたはずの次男も同じくアルコール依存症に。
次男もまた母親を憎んでいたそうです。
そんな家庭で育ったせいか、りかさんは家庭=戦場というイメージがあるため、20年近く付き合っているパートナーがいるそうですが、結婚して家庭をもつということはしないと決めているとのこと。
当たり前ですが、この考え方は人それぞれだと思います。
僕は家庭崩壊した家で育ったので、逆に温かい家庭をもちたくて結婚をしました。
大切なものが壊れる怖さより、独りになるほうが怖い(寂しい)のです。
アルテイシア(文筆家)の場合
この方の母親もまた、自分のことしか考えない人です。
美しい美貌の持ち主で美に対する意識は強く、やせるためにまずいものを食べ、下剤を飲んでトイレにこもり、家では常に全裸で生活するということ。
子供に離婚したことすら告げず、定番のアルコールに溺れ、自殺未遂を繰り返すようになります。
そんな家庭環境で育ったアルテイシアさんは、寂しさを紛らわせるように、数えきれないほどの男性と関係を持ちます。
そのせいもあって最終的に旦那さんに選んだ方は、今までに付き合ったことのない零細企業に勤めるオタクの男性。
何はともあれ、幸せになれたようでよかったですね。
鳥海奏妃「とりうみかなこ」(タロット占い師)の場合
お金持ちの父親が新規事業として始めた民宿で生活する鳥海さん。
その父親もまた、突然鳥海さんに暴力をふるい、母親はお酒を飲んではヒステリーを起こすような環境です。
そしてある日突然、父親が失踪。
そんな状況で民宿の経営などできるはずもなく、お客さんに出す料理と家事全般を鳥海さんがまかなうことに。
高校生になるころには、この方もまた母親から女としてライバル視されます。
娘に対する対抗心からか、母親はお客さんや近所の男と付き合っては、夜な夜なあえぎ声をあげる日々…
なかなか壮絶な環境で育った鳥海さんですが、一度は宗教の信者と結婚されます。
が、なんと入信を断ったことから相手の母親(姑)が入籍当日に自殺未遂を起こし、慌て帰った息子をそのまま軟禁、その2年後に離婚届が送られてくるという驚きの人生を送っています。
現在、施設にいる母親が後悔の念をこぼしたという話を聞いて、涙する鳥海さん。
元子供であり、元家族ですからね。
いい思い出もあるからこそ苦しいんです。
二村ヒトシ
六本木に皮膚科を開業した母親に育てられた二村さんは、暴力をふるわれることはなかったそうです。
父親は3歳のときに離婚して、母親に追い出されています。
背が高く美人で男性的な母親は、職場で女性にモテモテ。
それを知ったうえで、彼女たちの心を支配する女帝だったそうです。
ただ一人、息子の二村さんに対しては嫌われないようにと、気を遣っていたとのこと。
そんな二村さんをいつまでもそばに置いておきたい母親は、二村さんのアトピーだけは治しませんでした。
思春期になり、アトピーのせいで女性に積極的になれずにいた二村さんは、なぜかいい雰囲気になったからという家庭教師の先生と初体験をすまします。
以降、文字通り精力的に活動するようになった二村さんは、大学進学後に劇団を立ち上げ、その劇団が評価を得たため大学を中退し、恋人と結婚します。
ここまでは順調なように見えますがこの後、母親への嫌がらせと、いつも合えばお金をくれる母親との癒着を断ち切るために、AV男優になります。
どうやら母親に怒ってほしかったみたいです。
この方の場合、あまり毒親性を感じませんが、本人にしてみれば女性との接し方も、母親と同じく相手の気持ちを利用して支配するようなやり方しか分からなくなったとのこと。
蛙の子は蛙といったところでしょうか。
伊藤洋子(主婦)の場合
伊藤さんがかわいがっていた犬を、コンクリートにたたきつけるような父親からは、当然のように激しい暴力を受けて育ちます。
大人になってからは精神科で貰った薬を飲みつつ、お酒に溺れ、酔った勢いで出会った人と結婚します。
超絶ブラック企業に勤めてしまった伊藤さんは、仕事を辞めるために妊娠し、つわりのせいでお酒も止められました。
妊娠をこんなことに利用するなんて最低だとしつつも、娘が生まれたら世界がひっくり返ったそうです。
命をもらったのは自分のほうだと。
それくらい愛おしい存在に出会えたということなんでしょうね。
しかしそんな伊藤さん夫妻を引き裂こうとする母親に疑問をもった伊藤さんは、答えを求めて読んだ本で自分がアダルト・チルドレンであることに気が付きます。
アダルト・チルドレンとは
親がアルコール依存症の家庭で育って成人した人。
親や社会による虐待や家族の不仲、感情抑圧などの見られる機能不全家族で育ち、生きづらさを抱えた人。
機能不全家族の下で育ったことが原因で(大人になっても)深いトラウマ(外傷体験)を持つという考え方、現象、または人(大人)のこと。
Wikipediaより
そして母親は、一度は伊藤さんに結婚をさせ、そのあと不幸になって戻らせ、自分と同じことを繰り返させることではないかと言います。
なぜそんなことをしたいのかは僕には分かりませんが、このアダルト・チルドレンというもの、もしかしたら僕にも当てはまっているのかもしれないと思いました。
伊藤さんは自分の娘に、生まれてくれただけで幸せだから、この先一生親孝行なんてしなくていいと言っているそうです。
逆にこんなことを言われたら、ちゃんと親のことも考えなきゃと思いますよね。
心に余裕があるから考えられるんです。
毒親はその心を呪いの言葉でいっぱいにしたうえで、さらにまだ親孝行をしろと言って負担をかけてくる人。
僕は本当に心からあなたたち毒親がキライです。
まとめ
最後の解説にて、臨床心理士の信田さよ子さんがこのようなことを言っています。
子どもにとって、最大の悲劇とは本人たちも「これが当たり前」「家族ってこんなもの」と思っていたことだ。
そして、親の命令を聞けない自分が悪い、親のことが怖い自分がヘンだ、親を殺したくなる自分は狂っている、と思う。
その先に広がる道の方向性は限られている。
少しずつメンタル的に壊れていくか、自殺するか、反社会的行為によって非行(犯罪)化するか、それともアディクション(嗜癖しへき)を呈するか、である。
毒親サバイバルより
要は心が壊れた結果、ストレスから解放されたくて自殺するか、人にあたるか、お酒や薬物に依存するかってこと。
そんなの嫌だ、絶対に。
それを防ぐためにどうしたらいいのかをさらに解説で説いています。
自分が受けたことを「被害」であると気づき、自覚することだ。
すべてはそこから始まる。
大切なのは、あの親から自分が被害を受けたと認めること、その姿を言葉を使って表現し伝えること、それが同じ経験をした仲間に共有され、被害を受けながらこうやって生きてきた自分を認め、誇りを持てるようになること、なのだ。
そうして初めて親と距離をとることができる。
毒親サバイバルより
ちゃんと毒親から受けたことを「被害」であると気づきましょう。
そしてそれを自覚しましょう。
自分に誇りをもつのはなかなか難しいとは思いますが、一旦、毒親とは距離をおいた方がいいと思います。
僕も社会人になってすぐに、実家を離れました。
その後、父親とは和解しましたが、父親の死後、養子縁組をしていた義母(父の再婚相手)とは、弁護士を間において離縁という形で親子関係を解消することになりました。
お金にがめつい義母に、財産のほとんどを持っていかれはしましたが、大切なのは自分の人生です。
僕には応援してくれている人がいます。
嫁さん、実母、親戚のおばさんたち。
お金はなくとも、独りじゃないんだということのほうが何倍も心強いです。
自分だけじゃなく、そういった自分に関わる人達のことも大切にして生きていきたいと思います。
このブログを通じて、少しでも何かのお役に立てたなら幸いです。
では、また。